歯周病
- 位相差顕微鏡を用いて歯周病の原因となっている細菌の種類や数を確認
- 細菌を除去するための薬剤(抗生物質)の内服
- ご自宅で細菌除去効果の高い歯磨き粉(カビとり歯磨き剤)をもちいたブラッシング
- 歯科医院でのメンテナンス(歯石とり・クリーニング)
- 口腔内の清掃、歯石の除去を行います。
- 自律神経を副交感神経優位にさせるために、歯肉マッサージを行います
- 歯周ポケット及び歯肉部の膿出しを行います。また、必要に応じて歯周内科療法を行います。
- 舌ブラシやうがい薬による舌の清掃、歯肉マッサージの指導を行います。
- 歯周ポケットや歯肉部からの膿が少なくなってきたら、通院間隔を1-2ケ月毎にしてメインテナンスを行い、清掃及びポケット内の膿の状態を見ます。実際に取り出した膿を見せると、ほとんどの患者さまがとても驚かれます!
- ブラッシングができない所の歯茎の手入れができた。
- 痛くなく、気持ちよくて、少し眠くなった。
- 歯医者さんの痛いというイメージが変わった。
- ムズムズ感が気持ち良さに変わる。
- 「もうー度して!」っていう気持ちになる。
- 痛かった歯茎が楽になった。
- お口の中がサッパリ、スッキリした。
- 歯茎が軽くなった。
- 溜まっていた毒素を見てビックリした。
歯周病は、歯を支える周りの歯槽骨が減り、最後には歯が脱落してしまうという怖い病気です。
歯茎から出血したり、歯がグラグラしていれば、歯周病の疑いがあります。早期に対策できれば、日々のブラッシングでも十分に改善が可能ですので、早期に治療し、しっかり予防することがとても大切です。
歯周病の検査について
位相差顕微鏡
位相差顕微鏡は、お口の中に入るさまざまな菌を生きたまま観察することができる機器です。
位相差顕微鏡による検査では、お口の中の菌の種類や割合まで特定することはできませんが、真菌の発達具合と運動性の菌の状態を調べることで、虫歯や歯周病への罹患リスクを知ることができます。
位相差顕微鏡による検査は、当院で治療中の患者さまには無料で提供しておりますので、ご自身のお口の中をよりよく理解していただくためのツールとしてご利用いただければと思います。
唾液検査(リアルタイムPCR検査法)
歯周病菌には非常に多くの種類があり、いまだに働きが良く解明されていないのも含め、約500〜800種類の菌があるといわれております。
唾液検査(リアルタイムPCR検査法)は、患者さまのお口の中にいる歯周病菌の種類や数を特定することで、その人に合った歯周病治療や予防法を導き出すための検査です。
一言で歯周病といっても、その原因菌にも10種類以上の菌があり、それぞれの菌によって症状や特徴が異なります。
特に、慢性歯周病に大きくかかわりとされている「レッドコンプレックス」と呼ばれる3菌種:P.g.菌(プロフィロモナス・ジンジバーリス菌)、 T.f.菌(タンネレラ・フォーサイセンシス菌)、 Td.菌(トレポネーマ・デンティコーラ菌)が見つかった場合は治療が難航することが予想されますので、通院感覚を短くし、こまめにケアそしてあげるほか、ご自宅でも専用のメンテナンス用品を使用していただいてしっかりとセルフケアをしていただきます。
効率よく治療をすすめるためにも、まずはリアルタイムPCR検査法により、ご自身の症状の原因をしっかりと分析することが大切です。
当院の歯周治療
歯周内科治療
歯周内科とは、歯周病菌に効果のある薬(抗生物質)を用いて歯周病を改善する治療法のことを言います。
従来、歯周病の治療と言えば歯磨き指導と歯石除去などのクリーニングが中心でしたが、このような治療法では歯周病菌を完全に除去することは出来ず、重度ともなれば、「毎日長時間の歯磨きが必要」「ずっと通院していて先が見えない」などといった、精神的にも時間的にも大きな負担がかかってくることが多々ありました。
しかし最近では、位相差顕微鏡を用いて歯周病の原因となっている歯周病の原因となる細菌の種類、数を特定し、それらに効果のあるお薬を服用していただきながら、従来の歯周病治療を受けていただく「歯周内科」という治療法が普及しつつあります。
歯周内科治療の流れ
痛くない歯周病治療【歯周デトックス療法(YM療法)】
「YM療法」とは、歯茎にたまった血液や膿 (毒素) を専用の道具を使用して取り出すことによって、自己免疫力を向上させ、歯周病菌と戦う能力を上げて症状を改善するという、今までの歯周病治療とは違ったまったく新しい考え方の治療法です。
メスや麻酔を使うことなく、ほぼ無痛で治療を行うことが可能です。
そもそも、なぜ歯槽骨が破壊されてしまうのか?
歯周病により歯茎に炎症が生じると、正常な白血球のバランスが崩れ、顆粒球が多くなってしまいます。この、多くなってしまった顆粒球が放出する、多くの炎症性物質が起因となり、自らの歯周組織の崩壊へとつながってしまうのです。
YM療法はこの多くなってしまった顆粒球の除去を目的とした歯周病に対する免疫療法です。溜まっている顆粒球を除去することで、歯周組織の崩壊を食い止めると同時に、白血球のバランスを正常に戻し、自己免疫力を強化することが期待できます。
従来の方法とYM療法の違い
従来の歯周病治療では、プラークや歯石を除去したり、歯茎のマッサージを行うことで症状の改善を図ることが中心でした。
ですが、この従来のやり方は、比較的初期の歯周病に対しては有効な治療法ですが、歯茎に膿が溜まっているなど、進行してしまった歯周病に対しては、十分な治療効果を発揮することができません。
そこで、歯茎に溜まった膿などの毒素を体内に排出させてあげることで、自己免疫力を向上させると同時に、自己治癒力によって歯周病を改善させるYM療法が有効となるのです。
アプローチ | ターゲット | 局部麻酔 | |
---|---|---|---|
従来の治療 | 細菌 | 歯石 | 麻酔をする |
YM療法 | 自己免疫 | 余剰顆粒球 | 麻酔をしない |
治療の流れ
YM療法を受けた患者さまの声
プロの手で歯石を除去。歯の表面も磨いて汚れをつきにくく。
スケーリング&ルートプレーニング
上記のYM療法は進行してしまった歯周病に対して有効ですが、歯周病も初期の段階であれば、基本的な歯のお掃除をしっかりとすることで、症状の改善が期待できます。
スケーリングとは、「スケーラー」と呼ばれる専用の器具を使って、日常のブラッシングでは取り切れない歯石や汚れを除去していくことを言います。歯茎の下の見えない歯石も、このやり方でしっかりと除去していきます。
また、ルートプレーニングとは、歯の根の表面をつるつるになるように磨いていくことを言います。
根っこが凹凸だと、その部分に汚れが溜まりやすく、細菌感染の原因になってしまうため、平らにして汚れをつきにくくするのです。
スケーリングとルートプレーニングはセットで行うことが多く、歯周病治療を行う上で欠かせない、基本ともいえる治療です。
超音波スケーラーとハンドスケーラー
スケーリングの際に使われる「スケーラー」には、主に2つの種類あります。
それぞれ、メリットデメリットがありますが、当院ではそれぞれの道具を適切に使い分けることで、より効果的で、患者さまへの負担が少なくなるよう工夫をしております。
超音波スケーラー
超音波スケーラーとは、超音波によって歯石を玉砕して除去したり、バイオフィルムを破壊してキレイにしたりすることができる機械です。
ハンドスケーラーと呼ばれる手動の器具で行うよりもパワーがありますので、少ない時間で歯石や汚れの除去が可能で、歯や歯茎に与える負荷が少ないのが特徴です。
ただし、細かな部分の歯石の除去には適しておりませんので、取り除けなかった汚れはハンドスケーラーで取り除くことになります。
ハンドスケーラー
ハンドスケーラーは、細かな部分の歯石を丁寧に取り除いていくときに有効な器具です。
一つ一つ手作業で行う必要があるため、時間がかかってしまうというデメリットがありますが、その分、丁寧に仕上げることが可能です。
当院では、まず、超音波スケーラーで全体の大まかな歯石を除去した後に、ハンドスケーラーで細かな部分を仕上げるようにしております。
レーザーによる歯周病治療
比較的進行してしまった歯周病の場合、炎症を取り除く治療の後にレーザーによる治療を併用することで、歯周ポケットの殺菌・消炎が可能となり、比較的早く症状を緩和することができます。
レーザーの光は歯周ポケット内の奥深くまで到達しますので、歯石を取り除くと同時に歯周ポケット内の細菌を死滅させることができるというメリットもあります。
痛みや出血も少なく、回復期間も短くすることが可能ですので、患者さまの負担も少ない、体に優しい治療法と言えるでしょう。
副作用もなく、妊娠中の方やアレルギーをお持ちの方でも安心して使用できますので、ご希望の方はお気軽にお申し付けください。
歯周病の進行について
歯周病は、ステージによって大きく「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
「歯肉炎」は、歯茎にのみ炎症が起きている状態で歯を支えている骨の部分はまだ健康な状態ですが、「歯周炎」になると歯茎だけでなく顎の骨まで炎症が及んで、骨が溶かされ始めてきます。
いったん骨が溶かされてしまうとご自宅でのケアだけでは治療が難しくなり、回復にも時間がかかってしまいますので、歯肉炎の段階で適切なケアをしてあげることが大切です。
歯肉炎
歯周ポケットの深さ:3mm以下
歯茎だけに炎症が起きている状態です。
歯周ポケットにたまったプラークの中に潜んでいる歯周病菌によって、歯茎に炎症が起こります。
この段階ではまだ痛みなどの症状はありません。
症状
歯茎が赤く腫れ、プヨプヨした状態になる
ブラッシングをしたときに出血する
軽度歯周炎
歯周ポケットの深さ:3~4mm
歯茎の炎症に加え、歯を支える顎の骨が溶かされはじめます。
歯周ポケットも深くなり、プラークや歯石が溜まりやすくなります。
この段階でもまだ痛みはありませんが、冷たい水がしみることもあります。
症状】
歯茎の腫れがひどくなる
ブラッシングの時に加え、食事のときにも出血することがある。
冷たい水がしみることがある
歯を指で押すと、少し歯が動く
中度歯周炎
歯周ポケットの深さ:4~6mm
骨への炎症が進み、歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの約1/3~1/2まで溶けてしまっている状態です。
歯周ポケットの中まで歯ブラシの毛先が届かなくなるためさらに汚れが溜まり、症状が進行していきやすくなります。
また、痛みも感じるようになるので、ご自身でしっかり歯磨きを行うことが難しくなります。
症状
歯茎からの出血が増える
歯周ポケットから膿が出る
口臭が強くなる
堅い物をかむと痛みがある
歯茎が痩せて歯が長くなったように見える
重度歯周炎
歯周ポケットの深さ:6mm以上
歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの1/2以下まで溶けてしまっている状態です。
ここまで進行してしまうと完治が難しくなり、また治療期間も1年以上かかってしまう場合がほとんどです。
歯や骨の状態によっては抜歯も検討しなくてはいけなくなります。
症状
歯のグラつきがひどくなり、食べ物がきちんと噛めなくなる
口臭が強くなる
歯茎から膿が出るようになる